奈良県川上村は滝が豊富な場所だが、観光感覚で行けるのが蜻蛉の滝、御船の滝、登山道がしっかりしたものが琵琶の滝、明神滝くらいで、あとは危険が伴う滝となる。今回紹介する滝は、向流谷の白傘滝と同様に中奥川右岸支流に架かるものである。最近では小幸さんのレポが記憶にあるが、もう3年近くが経過しているのは驚いた。
　川上村のR169のこの分岐を左折し、約3.2kmで滝の谷出合に着く。ここから谷を遡上する。川の右の踏み跡を進み、渡渉して水道設備を目指す。ここから右岸を登ることになる。10分ほどで二条の立派な滝があり、ここは左から巻いて上流を目指す。しばらく、小石が安息角に堆積した斜面が続くので、ずり落ちないようにコースを考えて進む。斜面が少し緩やかになると、滝はもうすぐだ。入口からは30分余りで滝前に到達する。滝は垂直に近い角度で落ちており、滝上部の紅葉がきれいだ。並の百選滝よりは良い印象である。ただ、この日は快晴に近く、明暗差で写真はうまく撮れない。下部に虹が架かっていたのが救いだ。「秘瀑」の一部引用させていただく。「高さは40mほどだが、垂直の壁にまっすぐ一直線に落下する姿は、スケールは小さいものの遠く那智権現大滝を髣髴させる。実に立派な滝である」