中奥川は奈良県川上村を流れる吉野川の有力な支流である。中奥川の支流については、大阪わらじの会の「台高山脈の谷（上）」に詳しい報告や遡行図があり、滝の写真も川崎実氏の「秘瀑」に多く掲載されている。ただ、多くの情報が本格的な装備での沢登りなので、私のレベルでも到達可能な滝を選別する必要がある。今年の4月下旬に訪問した「ジョウカケ谷大滝」くらいが私（単独）の限界である。
　今回、私が狙ったのは鳥渡(とりわ)谷の三滝（オイ滝、ツボノ谷滝、大鯛滝）で、鳥渡滝、金剛童子谷大滝はパスした。まずは「オイ滝」から行くことにした。林道大鯛線を進むと、左下に滝が見える。邪魔にならない場所に車を置いて準備していると、浜松ナンバーの車が通った。これは大鯛滝で会えるかもしれない。楽しみが増えた。オイ滝へは急斜面の降下で、それなりの高度差もある。念のため、ザイルも持参したが、結局使わなかった。ただ、ルートを間違えた。尾根筋を直進したため、滝に少し下流に出たのである。よく磨かれた滑りやすい岩場をスパ長で進むのは結構怖い。帰りは滝前から直接斜面を登ると、行きの尾根に合流した。尾根の途中から滝に向けて右に進むのが正解なのである。しばらく、雨が降っていないが、本流だけに凄い水量である。水の色はエメラルドグリーンではなく、やや青みかかっていた。水質良好だ。素晴らしい景観を独り占めにし、良い時間を過ごした。